英会話 本の最適化

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「いざなぎ超え景気」となった2002年からの景気拡大は、派遣や請負などの労働力によって全体の賃金水準を抑えこむことに成功しました。 一雇用の流動化による人件費の圧縮で、企業は過去の債務を返し、不良資産を処分でき、企業のキャッシュフローは大幅に改善されました。
実質的な無借金経営企業も大幅に増え、手持ち資金が豊かになったので、企業は設備投資をしましたが、海外での生産・販売のための投資が目立ちまし年功序列と高齢化で賃金の上昇圧力はあったのですが、それを吸収したのが、非正規一雇用者の低賃金だったのです。 給与所得全体が、この景気拡大期間を通じて伸びなかつたことは消費の頭も押さえました。
若者から見れば年長者の既得権を維持するための悪4あがきともいえる「格差景気」は、中流崩壊という状況をもたらしたのです。 団塊の世代が堪能したいざなぎ景気の時代は、経済成長率もほぼ2けた成長の時代で、所得もGDPも2倍近くになりました。
一方、今回の景気は、デフレ下で、名目GDP、名目所得が伸びなかったので、この点に着目すると、全くの不況の時代だったのです。 成果主義、短期一雇用……どの現実をとっても、名目所得が伸びなかったことは、若者を直撃しましたが、「現状維持」という点からすると、年長世代に優位でした。
バブルの記憶もおぼろげな団塊ジュニアの就職氷河期世代にとっては、「好景気は若者を喰いものにしただけだろう」という認識が正解なのです。 生産年齢人口がマイナスに転じて早加年、潜在成長率1%、高齢化、政府債務1000兆円の時代には、こうした実感なき「景気回復」の達成が関の山だったのです。

また、若者の一雇用を流動化させた今回の景気局面を、経済のグローバル化という角度から見ればどうなるでしょうか。 その正体は外需依存の「BRICS景気」だったと見ることもできます。
メディアでは、景気後退はどうして起きたかをめぐって経済に対する過去の記憶や認識に頼ったありきたりな議論がきっと繰り返されるのでしょう。 そうした新聞やテレビなどの大手メディアの解説とはまるきり違う「常識外」の視点から経済をながめてみる方法を本書は提示します。
今回私はこの本で、景気や経済構造の変化を、「時間」と「記憶」という新しいテーマから再構築してみました。 簡単にいってしまえば、経済活動は価値をつくり出し、それをお金に換算し、再配分することなのですが、実はお金のやり取りのほとんどは時間のやり取りだという考え方を示し、誰が損をして、誰が得をしているのかをあからさま内需がさえない時代に頼るものは外需だったのですが、今世紀に入ってから、ブラジル、ロシア、インド、中国という人口大国であるBRICS諸国が新興国の仲間入りをしました。
日本にとって願ってもないよい環境でした。 日本企業は、インドや中国での工場建設、資本財輸出、新たな富裕層への高級消費財輸出を加速しました。
この面から見ると、内外の金利差と円安を利用した「円キャリー取引景気」を享受していたともいえます。 「成熟国家」とは、実は「老体国家」の言い換えであり、時間をもつ年長者の医療や福祉のために、働く若い世代が所得移転をすることが最大の仕事となります。
所得移転といっても、日本には石油が湧いてくるわけでもありませんから、若い世代が時間を切り売りして、お金を稼ぎ、所得を移転するわけです。 従って、お金の移転は時間の移転と考えることができます。
なぜ、経済を時間の再配分という面から考えることが重要なのでしょうか。 今、マクロ経済の中で最も問題となっていることは、世代間の対立であり、世代間の扶養問題だからです。
乃歳以上の後期高齢者は、これまで自分がかけてきた年金保険料の数倍もの年金をもらっていますが、生活は「まだ苦しい」といわれています。 後期高齢者医療保険制度では、保険料も診察代も後期高齢者にとっての負担は概ね1割です。
残りの5割は税金、4割は現役世代の健康保険から支出されています。 わずか「1割負担」の制度が、当事者やマスコミから「姥捨て山だ」と切り捨てられているわけです。

豊かな高齢者を含め、おおかたのお年寄りは前より負担が軽くなっているにもかかわらずです。 実際にしわ寄せは若者に回され、社員の平均年齢が若い派遣会社の健康保険組合は、追加負担を求められました。
厚生年金や共済年金に入っている後期高齢者の年金支給額とどっこい所得水準(勤労者は所得に課税されるので、手取りはそれより低い場合が多い)にある派遣社員の健康保険料は値上げされました。 しかも、彼らの医療費は1割負担ではありません。
もともと、福祉制度は数が多い若い世代から数が少ない貧乏な退職世代に送られる制度でした。 ところが、今は貧乏な若い世代から時間も資産も豊かなお年寄りの世代に向けられています。
1時間1000円で派遣されている若者が、お年寄りのために負担できるお金はたかが知れています。 でも、終末医療には1日何万円もかかります。
その費用を賄うために若者全体が高齢化社会に「派遣」されているといえば大げさでしょうが、お年寄りはどんどん増え、子供や若者はどんどん少なくなります。 時間をすり減らし、結婚も子づくりもできず、楽しみは自分の老後まで我慢せよというのでしょうか。
世の中の時間の使われ方は根本的に間違っている気がします。 こうした現実は「時間」と「記憶」から説明できます。
まず、日本で今の福祉制度がつくられたのは、1970年代で、それをつくったのは後期高齢者を中心とする世代です。 そのころは高度成長期(弱年?羽年頃)が終わり、赤字国債の発行が始まり、人口を維持するための出生率2.帖を割り込んでいた「終わりのはじまり」の時代だったのです。

ただ、社会保障制度を設計した前提となった時代の気分は、イケイケドンドン、ジャパン・アズ・ナンバーワンという「楽観」でした。 そうした方々が、明るい未来に向かって福祉や財政で大風呂敷を広げ、自分たちはその魔法のじゅうたんに乗って順調に加年(1世代)も進んできました。
「きみたちもやがて魔法のじゅうたんに乗れる」といわれていますが、魔法のじゅうたんから降りるとみられていた方々は長寿社会ではなかなか降りられません。 魔法のじゅうたんを飛ばす燃料もだいぶ枯渇してきました。
「きみたちも乗れる」という状況は、加年前にそれを考えた世代にとってはその通りだったのですが、時間の経過とともに、若い人たちはじゅうたんから取り残されてしまったのです。 「誰でもじゅうたんに乗れる」「じゅうたんに乗るのはまずお年寄りだ」「なぜならお年寄りは弱者だから」という「記憶」だけが世の中にこびりつき、現実に合わなくなってしまったからです。
こうした「記憶」と「時間」の流れのなかで、若者も中年もアラフォー世代も救われない時代がやってきたのです。 年長者や政治家、メディアが提示した「記憶」が、「時間」をかけて若者に刷り込まれ、それが集合体となり、「社会的記憶」が形成されます。
常識となり、政策策定のベースとなりますが、若者は年長者の思惑通りの「クローン記憶体」にされようとしているのです。 そうした記憶や時間の問題に迫らないと、若者は負け続けてしまうでしょう。

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